明治維新の富国強兵と戦後の経済復興に求められたものは、圧倒的優位を占めた欧米先進国からの技術導入であります。日本の経済戦略は、安い労賃で安い製品を作り、安く輸出すると言うものでした。これらを支えたのが「読み・書き・そろばん」の基礎学力や勤勉な日本の国民性であり、欧米先進技術による製造機械のマニュアルを理解し、操作できる能力でありました。つまり、「あらかじめ決まっている正解に、いかに早く到達できるか」と言う能力。塾が教える「答えの導き方」や、入試のペーパーテストが求めてきた物も正にこの能力なのであります。
今日「日本製」は「高品質」の代名詞となるに至りました。物作りにおいては欧米を凌駕する分野さえございます。しかし、独創性・創造性におきましては日本は未だ途上国なのではないでしょうか。 平成不況、空白の10年・・・この状況を抜け出すには「独創的・創造的国家」への変貌以外に方法は無いものと思われます。従来の「決まった答えに早く到達する手順」を教える教育方針にあっては、独創性・創造性を育むことは不可能であります。学校現場におきましては、未だに没個性的な平等教育を掲げており、独創性創造性の育成を期待することは不可能と思われます。 豊かな創造性の素地の一つに「美」への感受性がございます。全て、優れたものは「美しい姿」をしています。ニュートリノでノーベル賞を受賞した小柴博士は、創造性を高めるには芸術への感性を高めることが有効であるとおっしゃっています。現在、塾や学校現場におきましては、子供達が第一級の芸術に接する機会は全くございません。 1990年以降、企業メセナ(企業による芸術支援)活動が盛んになっております。これは利益の社会還元という側面だけではなく、「独創性創造性豊かな国家への変貌」と言う国家的課題からいたしますと、企業の存亡にも関わる重要課題への<投資>とも理解できるのではないでしょうか。今、日本の子供達に第一級の芸術に接するチャンスを与え、芸術に対するセンスを涵養してゆく事が、国や企業に求められている緊急の課題であると思います。 福岡東ロータリークラブ2004-2005年度会長報告No.24(2005.1.13)
by keizo-ohata
| 2006-08-24 12:50
| 育児・教育
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