セルジュ・チェリビダッケとの出会いは、大学卒業後2年程の頃だったろうか。高校の1年先輩で音楽好きのKさんのお宅で聴かされたレコードが最初でした。福岡市の鳥飼市営住宅の一戸、近くには樋井川が流れ、九州大学六本松キャンパスが近くにありました。
市営住宅としてはやや古い建物。夕方、窓から差し込む西日の眩しい一室で、先輩は<幻の指揮者>の話を始めました。「レコードを決してださない指揮者なので、これは海賊版なんだよ」・・・と言いながら針を落としたのは、プロコフィエフの「古典交響曲」でした。 西日が少し陰った室内に流れてくる音楽に目を見張りました。木管楽器、ヴァイオリン、コントラバス・・・それぞれの声部がそれぞれ別の生物のように、異質にうごめきながら絡み合う、その音楽に宿る生命力!これまで一度も聴いた事の無い「音楽」に激しく心を動かされたのを覚えています。 10年後のミュンヘン。ミュンヘン・フィルハーモニー練習場。チェリビダッケ指揮による「古典交響曲」のリハーサルに立ち会うことになろうとは、この時知る由もありません。
by keizo-ohata
| 2007-01-10 23:07
| クラシック音楽
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