今年のNHK音楽祭にはゲルギエフが再度来日の予定。NHK教育TVで1995年11月のゲルギエフ指揮マリンスキー劇場管弦楽団の演奏が放映された。
曲はチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」。「これぞ!ロシア!」とも言える凄まじいばかりの演奏!、何十年振りでこのような演奏に出会いました。ウィーンや特にザルツブルグ音楽祭では、かなり高い確率でこのような「人の人生に一大異変を引き起こしてしまうような演奏」に出会うことができます。(もちろん、数としては非常に少ないのですが・・) 4年前の6月、サンクトペテルブルグを2度目に訪れたました。、ホテル・モスクワに4泊、昼はこの街や美術館を探訪し、夜はオペラ&バレー三昧と決め込みました。1回目(さらに2年前)にはゲルギエフの指揮するムソルグスキー「ボリス・ゴドノフ」を堪能いたしました。 2回目のこの時、面白い体験をしました。民族舞踏を鑑賞した一晩を除いて、毎晩マリンスキー劇場に通ったわけですが、予定されていたワーグナー「ラインの黄金」以外でも、毎回ゲルギエフが指揮台に立ったのです。、ロシア民話に取材したR.コルサコフ「雪娘」、パリ・オペラ座のプリンシパルを招いてのバレー公演の何れにも登場いたしました。 我々は1階のパルテレに座っていたのですが、指揮者の頭の半分がオケ・ピットから見えます。休憩時間の後に、急に音楽が自然に流れ出したので「いったい何が起こったのか?」と驚いていると・・・何とゲルギエフが指揮している!。 ワーグナー以外では後半からの登場で、予定外のことです。これは非常にラッキーな体験でした。我々の常識では、途中で指揮者が代わるなど急病・代役でないかぎり絶対に有り得ないことですから、非常に「得」した気分。それにしても指揮者が代わるだけで、それまでの「音」が突然「流れる音楽」へと変貌する様には、今更ながら指揮者の役割の大きさを再認識いたしました。 チェリビダッケを失い、ロストロポービッチを亡くし、巨匠と呼べる芸術家を世界に見つけることが困難となった現代、ただ一人巨匠の系譜を継ぐ指揮者がゲルギエフかも知れません。
by keizo-ohata
| 2007-06-28 11:59
| クラシック音楽
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