音楽講習会は読売日本交響楽団練習場の建物の一室で開催されました。はやる気持ちを抑えながら、前から5列目の中程に席をとりました。定刻に通訳の女の子(大学生のような丸顔の女の子でしたが・・)を前に、右側の入口からマエストロが入ってきました。正面にはクランド・ピアノです。
「音楽とは何か」・・・そのようなテーマで講座が始まりました。歴代の名演奏家の名前を上げては、それが間違っていることをあげつらいます・・・・「昔、カザルスという馬鹿がいて、云々」といった具合。次々に「昔、×△※と言う馬鹿がいて、云々」が並べられ、次々に否定されてゆきます。なんだか一種の痛快さがあって面白いのですが、これでは敵も多くなるだろう・・・と思ったものです。 しかし、一人だけチェリビダッケが褒めるのを聞いたことがあります。それは後年ウィ−ン留学中に参加したミュンヘン・フィルを使っての指揮講習会の時でした。いつものようにミュンヘン・フィルを指揮しての指揮レッスンの後は、音楽講習会(講義)が行われます。その中で、フルトヴェングラーに関連して、ベートベンの「田園交響曲」の演奏について話した時です。彼は感極まった表情でこう語りました・・「ポエヅィー!!!」・・・その豊かに漂い、溢れ流れる<詩情>の素晴らしさを賞賛したのです。 チェリビダッケが他人を認め評価する発言は、フルトヴェングラーのこの1回のみです。その表情から、いかにフルトヴェングラーに心酔していたのかが分かります。
by keizo-ohata
| 2007-01-28 03:08
| クラシック音楽
|
ファン申請 |
||