チェリビダッケは講義の中で<五度>について話してくれました。ボードに和声進行を書くと、「この音は高めに、この音はちょっと低めに・・・で、この音も高めに」と、音符を囲んで矢印を書き込んでゆきます。
そして、「五度のことを話せば、本が一冊書ける」と受講生に向って言いました。この時の<五度>の話は、後年jmc音楽教室の<楽典・和声のカリキュラム>を編成し完成させた時の大きなヒントとなり、私の音楽の核を形成する大変重要な概念へと発展してゆきます。 1982年、ウィーン留学の終りを迎えるにあたって、3週間程<何をなすべきか>について徹底的に考えることにいたしました。3週間あらゆる事柄について徹底的に考え続けました。その結果、「日本の音楽界にはアートマネジメントの概念が欠落している」。演奏したい人ばかりが溢れ、音楽を社会に繋ぎ展開させようとする機能が存在していない。これが日本の音楽界の発展を阻害している、この問題の解決なしには発展は無い・・・というのが結論でした。 もう一つ取り組むべきは、音楽教育のカリキュラムを根本的に一から見直すことです。留学前に音楽教育の現場にも関与していたのですが、そこでの教育カリキュラムは有って無きがごとくの状態でした。 一時帰国するとかつての教え子を迎え入れ、自宅に音楽教室を開きました。ヨーロッパで書き上げたカリキュラムを送り、実際に教えた感想を記入して返送してもらう・・・。このようにして教育カリキュラムの編成作業がスタートいたしました。 この時、カリキュラム展開の原点となったのがチェリビダッケ音楽講習会での<五度>だったのです。<五度>を軸に展開するとき、意外な程にスルスルと楽典・和声が整理展開されてゆきます。始まりから丸4年、jmc音楽教室のカリキュラムが完成いたします。その後一度改訂いたしましたが、市販されているどの音楽書にも無いカリキュラムだと自負しています。これもチェリビダッケ先生の惠みを頂戴して完成できたのだと感謝しています。
by keizo-ohata
| 2007-02-11 00:36
| クラシック音楽
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